冬ばってん「浜辺の唄」ば吹くけんね ばあちやんいつもうたひよつたろ(笹井宏之)
笹井さんは佐賀の人だ。
普段の歌に方言は使われていないだけに、無造作なその土地の言葉にドキッとしてしまった。
東京駅だったと思う。
その時、一緒にいた人に電話がかかってきた。
母親らしい。
出ると、最初は標準語だったのが、じわじわと九州の言葉に戻っていった。
私は少し離れて、そうやって話すのを聞いていた。
普段まったく方言の出ないその人がそうやって話しているのを、もう少し聞いていたいと思った。
そのことを、何の準備もなしに思い出して、ドキッとしたのである。
ふるさとの訛なつかし
停車場の人ごみの中に
そを聞きにゆく
有名過ぎる石川啄木の歌だ。
啄木は東北行き列車の始発駅である上野に、「そを聞きにゆく」のである。
方言は、威力のある言葉なのだと思う。
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